今年作者が急逝されてしまった作品です。
自分が扱うには大きすぎる作品かなと思いましたが、亡くなられて完結しないことが決まってしまったので、余計に書きたくなりました。
ほんとうに偉大なものは感情すらついていけない、感動って言葉は嘘ですべてが遠くなり静かな空白の空だけがあるのだと教えてくれた作品です。
一言で言うと神がかっています。
そんなベルセルクの魅力を語っていきます!
【合わせて読みたい】
異次元の残酷さ
以下ベルセルクのネタバレを含みます!
初期のベルセルクは復讐が目的のただ残酷なだけのマンガに見えました。
1巻から3巻までのベルセルクは、絵がきれいで書き込みもすごくて、雰囲気に圧倒されましたが、ふつうのマンガでした。
それが過去編に入って雰囲気が一変します。
まさに扉が開かれたように感じました。
主人公のガッツには片手、片目がなく、見る者を圧倒する巨大な鉄塊のような大剣を使います。
その服装は黒ずくめ、なぜか魔物たちに命を狙われています。
それがなぜなのかという話が過去編でされるのですが、伏線がパズルのように美しくはまります。
あまりにも残酷で美しくて消化できなくて呆然とするしかなかったです。
たしか13巻くらいだったと思います。
表紙の絵のようにすべてが血の海に沈み複数の魔物たちに囲まれます。
そして見下ろす魔物の王たち。
読まないと分からないと思います。
問題は読んでも分からないということです。
はるかな山のてっぺんで朝日を見たときに近いかもしれません。
すごいものを見たというその輪郭(りんかく)だけがくっきり残っています。
重さ
ベルセルクは主人公の復讐の話なので果てしなく重いです。
仲間たちを殺した巨大な魔物を倒していくわけですが、その倒し方もどっちが魔物かくらい凶悪で、悪魔に魂を食わせたような戦い方をします。
そんな戦い方をしているせいで主人公の体は常にぼろぼろです。
誰も救わない話なので雰囲気もどす黒いです。
復讐を果たしても救いはなくて、倒した相手も結局は何かを求めてあがいていただけの存在だったりします。
もともとベヘリットというペンダントに願うことで、一番大切な人をいけにえにして、最も望む力を手に入れるという儀式の産物なので、敵ももともと持っているものが悲劇だったりします。
それでも子供であろうと、娘思いの父親であろうとも、復讐のためには容赦なく殺していきます。
絵の雰囲気と相まって、主人公が凶気にかられるシーンはたまらない迫力があります。
救い
たぶんベルセルクに救いがいらなければこの物語はもっと早いうちに完結できていたのではないかと思いました。
主人公のガッツを物語を救おうとしたためにものすごく大変になったように思います。
物語を救うために妖精のパックが出て、そこからも子供とか魔法使いの少女とかが物語を救うために現れるのですが、主人公のまとう復讐の雰囲気と絶望的な物語をついに救い上げることはできませんでした。
救われないし救われてはいけないその重さこそがベルセルクなのではないかなぁっと思いました。
ベルセルクとは
なんというか岡田斗司夫さんのこの動画がよくあらわしています。
自分の力量を越えて作品にたどりついてしまった作者は、生涯その呪いにさいなまれる。
売れなくても売れすぎても作品が作者の人生を壊してしまう。
ベルセルクという作品が処女作だった三浦健太郎さんはどんな気持ちでこの物語と向きあっていたのでしょう。
永遠に分からない謎だけが残り物語は迷宮入りします。
まず3巻まで、できれば13巻まで読んで欲しいマンガです。
マンガ喫茶とかで読んでみるのもおススメです。
時間を忘れて没頭できます!