月姫がリメイクしたと聞いてやりたくてやりたくてたまらないです!
子供のため任天堂switchも買ったのに…
思い出補正が強すぎてそれがこわれてしまうのが怖くてプレイできません(+o+)
やりたくてやりたくてたまらない。
そんな月姫の魅力を語っていきます。
月姫とは
同人サークルだったTYPEMOONが2000年の冬にコミケで発売したアダルトゲームです(アダルトな要素は語るつもりはありません)
TYPEMOONの伝説の始りの作品でもあります。
何がすごいってそのクオリティです。
同人のゲームってなんというか裸が見られればいいんでしょうってデキだったなかで、ぐいぐいと引き込む力のある圧倒的なボリュームで語られる完成された物語がそこにはありました。
18禁ゲームってプロの作品でもお粗末なものが多くて、その中にあってまばゆい光を帯びていたのを覚えています。
作品の内容は
以下月姫のネタバレを含みます。
簡単に言ってしまうと吸血鬼ものであり能力者バトルものです。
今はあふれるほど作品がありますが、2000年当時はそれほど多くなかったように感じます。
月姫やブギーポップからfate stay nightを経て爆発的に増えたように思います。
(ジョジョの奇妙な冒険や聖闘士星矢、キン肉マンやX-メンがもともとありましたし、そもそもギリシャ神話とか能力者バトルと言えば能力者バトルなのですが…)
能力者バトルもののブームを作ったのは間違いないと思います。
あらすじ
特異な能力を持つ主人公の遠野志貴がある女を殺してしまうところから物語が始まります。
そこから主人公はさまざまな能力を持つ吸血鬼や異能者たちとの戦いに巻き込まれていきます…
まさかの主人公が殺人してしまう話です。
まぁ事実は相手が吸血鬼で人ではないし、そもそもなんとか死を免れていたのでセーフといった雰囲気になっていましたが、人だと思って殺しているので実はアウトなんじゃなかと思いました。
そしてまっさきに吸血鬼の親玉のようなやつを殺してしまっているので、巻き込まれるもなにも喧嘩を売ったのはこいつじゃないだろうかと冷静に考えるとそう思います。
主人公は前半巻き込まれたと悲壮な感じで語っていたので、当時はそうなのかなと思っていたのですが、自分からまきこまれていったが正解ですね。
物語の魅力
月姫という作品の90%は奈須きのこさんの文章力だと思います。
同時に武内崇さんの描く絵も奈須さんの文章でどんどん魅力を帯びてイキイキと動き出していくのが印象的でした。
(2000年版月姫より)
ひぐらしのなく頃にの絵ももそうですが、最初はいろいろバカにしていましたが、命を帯びた後に見るとその絵をもう絵とは思えなくなります。
奈須きのこさんの文章の特徴
文章で構築される世界観がものすごく濃厚です。
路地裏や背徳的な感じ吸血鬼が残酷な行為を街全体に及ぼしているところ。
その辺文章が苦手な方はマンガがとてもよく雰囲気を表しているのでよければオススメします。
ただなんといってもやっぱり月姫オリジナルが素晴らしかった。
月姫はほかの絵柄とくらべても言ってはなんですが、それほどかわいい絵ではありませんでした。
それなのに奈須きのこさんは自分のキャラクターに息をのむほど美しいと書きました。
絶世の美女であると。
なんというかそれは世界一美しい人を目指して作者は作品を作っていると思います。
ただそれでも自分の生み出したものを絶世の美女と形容することはどこかためらわれると思います。
それを恥ずかしげもなく褒めて、物語の中でもヒロインはそう扱われます。
そう扱われることで、本当にそのように見えてきます。
触れてはいけないほど美しいものであると、心奪われる尊いものであると教え込まれていきます。
文章を読みながらその世界の見方を教えこまれていく感覚。
人の心象風景の中にガイド付きで入り込むような気持でした。
そして奈須きのこさんの心象風景が中二心をくすぐることくすぐること
月姫とエヴァンゲリオンを10代で見ることができたのが自分の宝物のように思います。
なんといっても最初のバトル!
月姫がおもしろいのかなぁ、と言っても古い作品でしょ?
そう思う方がいたら、こいつとのバトルが終わるところまでを読んでください。
(2000年版月姫より)
最初の盛り上がる場所です。
…嘘です。
以下月姫の盛大なネタバレを含みます!
この最初のバトルがこの作品の魅力のすべてと言ってもいいくらい盛り上がるところです。
作品をやり終わって思いました。
嘘だろと。
そりゃ最強のお姫様とか、異能者の長とか、不死身でめっちゃ強い武器を持った人とか裏で暗躍していた人とかあんまりもいちずで途中に主人公を愛して亡くなった不遇のヒロインとかいたけれど、一番最初のバトルが事実上の決勝戦だったのかよって感じでした。
『えっ』てなります。
普通なら物語の説明であり、主人公が自分の能力を吸血鬼に使ってみて実感するとかいう能力解放のシーンをクライマックスにしてしまっています。
物語が進めば進むほど、そりゃ『ほー』『なるほど』とか思うのですが、この世界の全体像が見えてくるとマジかよってなります。
あそこが最高潮だったのかよと。
そりゃすごいって言われていたし、そりゃすごかったし、こんなやつにどうやって勝つんだろうって思ってドキドキわくわくハラハラして読みましたよ。
でもね、もっと強いやつがふつう出てくるでしょ。
出ないです!
なんというか工夫した能力はあるし、最初の敵と同格くらいのやつは出てきますが、間違いなく最強なのが最初の敵であるネロ・カオスです。
だからこそ月姫の魅力は序章のここだと言い切ることができます。
そしてなーんだと断念しないでください。
最初の終わりまで読んだらもうこの物語から抜け出せません。
世界の中に放り込まれています。
それは私が知る限り最高の救いです。
最初の光が強すぎて、その圧倒的な光景に続きが読みたくなります。
もしこれ以上の絶頂が訪れないとしても、それでも読むのをやめられないでしょう。
それくらい文章の力が強いです。
そしてその構成に驚かされます。
読み終わったあとでもついついその先を、物語を設定をどうなっているんだろうと考えて考えてたまらなくなります。
そこら辺を補完してファンディスク歌月十夜とか格闘アクションものmeltybloodとか出してくれているのがとてもうれしいです!
あ、歌月十夜、ファンディスクかぁって思いながらプレイすると火傷します。
月姫と比べても遜色ないほどのボリュームとクォリティです。
そして物語を保管する外伝が随所に盛り込まれている細やかさ。
黒レンの可愛さもあいまって買って損のない作品になっています。
月姫の衝動がどうしても収まらない方は読み下して、さらに月姫の世界にどっぷりつかってどうしようもない衝動をさらに広げることをオススメします(^^)/
(ただし今買うととんでもないプレミア価格なので、月姫が出たことですし歌月十夜も気長にリメイクを待ちましょう)
中二心をくすぐる設定
個人的に月姫で一番熱いのがその設定です。
読めば読むほどその世界の外側が気になってしまいます。
吸血鬼最強の使徒27祖とか。
異端を狩るための組織教会とか。
この星が人類に対抗するために産み落とした真祖という存在とか。
魔術は訓練で習得できても魔法というのはそれこそ魔の法律であるから、それらは選ばれた存在しか使えない。
魔法を使える魔術師のトップを魔法使いと呼んで世界には4人しかいないとか。
どっぷりとつかりたくなる中二要素満載です。
吸血鬼もので異能者バトルもので現代が舞台で、こんな設定があったらそりゃ高校生の私が没頭しすぎて少し帰れないばしょまで妄想してしまったことが分かります。
この作品を手に入れるためだけに秋葉原の街をゾンビのように徘徊した日々を懐かしく思います。
通販で簡単に非売品でも買うことができる現在ではあの宝探しのような感覚を味わえなくなって久しいなぁっと遠い目になってしまいます。
秋葉原写真狂歌(377)「元旦の記憶07~サトームセン・最後の初春の酒~」 | 江戸秋葉原文芸堂より引用
物語を支えるストイックでダークな雰囲気
月姫の舞台はほとんどが主人公が住む洋館と、学校そして路地裏で行われます。
(2000年版月姫より)
文章力と音楽からその雰囲気がとてもいいです。
屋敷は秋の雨の中のような冷たく湿った厳かな雰囲気があります。
その中で時間通りに行動して夜には門限があって外出禁止、ゲームはおろかテレビすらないその屋敷で主人公はそれでも家族とのふれあいを楽しんでいきます。
(2000年版月姫より)
なんというか高校生なのに定年して公園の散策をたのしむ初老の男性のようなストイックさです。
最近はおじいちゃんたちもゲームをしたりテレビを見たりしているので、今考えれば仙人のようなありえない世界です。
ただその娯楽のない勉強にはげんで仕事にいそしむという娯楽が排除された美しい洋館がたまらなく魅力的に映りました。
そんな場所だからこんな素敵な物語が生まれたのではないかと思ったほどです。
私が家に積極的にテレビを置きたくない理由はここがルーツかもしれません。
素敵なことがたくさん起こるためにはストイックにたんたんと仕事や学業をやっていないといけないってそう思っているのかもしれません。
その思考のルーツには月姫で見た何もないひどく満たされているあの洋館がありました。
主人公
(2000年版月姫より)
主人公の遠野志貴の見る風景は変わっています。
それはその持っている能力ゆえかもしれません。
モノの壊れやすい部分を線として見ることができるのがその能力です。
それゆえにかまだ高校生なのに達観した落ち着きを見せます。
老いと呼べるほど静かなおだやかさと、何気ないものを楽しめるその様は余命1カ月を宣告されたがん患者のようでもあります。
それゆえにかアダルトゲームで複数の異性に同時に好意を向けられるという立場にあってなお好感度が高いです。
夕暮れの匂いがします。
おだやかで、雄大で、ほのあたたかい。
でもそれは太陽が地平線に沈んでしまうからありえることです。
志貴も自分が長くないとなんとなく悟っており、だからこそそこにある何気ないものを楽しめる感性を持ち、年齢不相応な落ち着きなのかなと思います。
そこから見える風景がだからこそひどく面白いです。
マヴラヴオルタネイティブで主人公がいくつもの修羅場をくぐって成熟して達観して優秀な戦士になる様とは違って、こちらの主人公は修羅場になると昔を思い出すのだと思います。
幼いころにあまりにも多くの死を見て、自分もその死の淵を2度潜り抜けたために身に着けた能力が壊れやすい線を見る能力なので、なんというか修羅場は主人公にとっては絶対に帰りたくない故郷のような場所なのでしょう。
だからこそこの主人公修羅場にとても強いです。
魅力的な登場人物
(2000年版月姫より)
出てくるキャラ全員がイキイキして魅力的。
こんな作品なかなかありません。
メインヒロインである金髪の女性。
天真爛漫で笑うとひどくおだやかな空気を生みます。
反面すごいダークな面も持っていて二重人格のようになっています。
そもそもが主人公と会うまで機械のように対象を殺すということを淡々と続けてきたのが、主人公に殺されたことで致命的なバグが起こりました。
そのバグがよかったのか悪かったのかわかりませんが、どこかのんきな日なたの匂いのする美しい女性となりました。
主人公の友人である脇役の彼(画像の真ん中右)も、なんでこの主人公の友人にと思えるくらいのチャラ男で、ヤンキーで喧嘩上等で、でもだからこそ主人公に勝てないと本能でわかっています。
だから平和にヤンキーでチャラ男ができる自分を幸せだと思っていたりします。
そこら辺がすごく深いなぁって思います。
裏のメインヒロインである妹の秋葉(画面左上の黒髪)は主人公のことが好きすぎて、いつもは冷静で冷たくて、物事を合理的に考えて必要なら切りすることができるのに、主人公がいるとそれができなくて好き好き光線を浴びせます。
もう主人公と一緒の学校に通いたくて転校してきてしまうほどに、それは変質と呼べるくらいに主人公のことを愛しています。
そしてその妹が持っている力は美しく、驚くほど強力です。
同時に力を使えば使うほど自分の異端の血の衝動に飲まれてしまうという儚い設定があったりします。
ほぼすべての登場するヒロインがなんらかの異端で能力使いです。
それだけに食えない女性がとても多いです。
主人公がいなければたぶんそれぞれが利害のために殺しあっていたでしょう。
なんでか主人公は異端の聖域のようになって、どの異能者も主人公にだけは少し優しいです(人間性を失ってしまっている現象のような人は除く)
主人公に死が見えて、それだけに自分以上に異端で、そして先が長くないから優しくなれるのかなって勝手に解釈しています。
主人公の前で意地を張っても仕方ないってなってしまいます。
これが異能を狩るという血筋である主人公の本来の能力は、異端に好かれることとかいうドロドロの設定ではないことを祈ります(;'∀')
総合的に月姫とは
私がやった100近いノベルゲームの中でもトップに君臨するのが月姫です。
18禁ゲームなので18歳を超えてからプレイするようにしてください。
18禁ゲームに抵抗のある人もいると思いますが、最高の物語というものが楽しめると思います。
グロテスクな描写もあり、人によっては嫌悪感を覚える作品です。
作中でけっこうな拷問シーンや残酷なシーンもあります。
それでもやってみる価値のある作品であることは保証します。