MASTERキートンという漫画があります。
かなり昔のマンガなんですけど、これがたまらなくおもしろかったので紹介します!
ウェアハウスで借りて読んで、買って読んで、売ってしまって、今手元にないので読みたくて読みたくてたまらなくなっています。
何度も何度も読み返して、テスト前にこのマンガを手に取るともうダメでした。
MASTERキートンの魅力
MASERキートンは短編の物語がいくつもあるマンガです。
それぞれの物語が印象的で魅力的です。
そんなMASTERキートンの私が考える魅力を3つ紹介していきます。
1設定が面白い
考古学者、オックスフォード大学卒業、英国SASのエリート兵士という独特な経歴の主人公、さらにこの主人公が強くなさそうなんです。
どこにでもいそうで、どこにでも馴染んで入っていける。
鋭さがなくてそれを武器にして探偵としてさまざまな事件に立ち向かっていきます。
そんな主人公なのに、同じオックスフォード大学で知り合った奥さんとは離婚して高校生の娘が1人いて、その娘には頭が上がらない困ったお父さんだったりします。
かっこ悪いなぁって子供の頃は読んで思っていたのですが、今結婚していきなり子供が2人できて、なかなか沁みます。
主人公の平賀=キートン・太一が軍隊に入った理由は奥さんと離婚して、自分を鍛え直したいと考えて入りました。
軍隊で輝かしい経歴をいくつも飾りながら、自分のやりたいこととは違うと軍を後にして、大手保険会社ロイズの下請けとして探偵として働き始めます。
その探偵でもものすごい成果をいくつも挙げるのですが、本当に主人公がやりたいのは実は考古学で、なのにあまりに探偵や軍人としての経歴が輝き過ぎて、お金が稼げるので考古学というお金が稼げない学問をするために仕方なく探偵をしています。
やりたいこととできることは違うっていうことをすごい考えさせられます。
最近私が考えるのはドリルを持ったスーパーロボットの弱点は、ドリルを使わなければならない。つまりドリルの対策をされてしまったら終わりだということです。それなのにドリルがついているので、そのロボットの選択肢には必ずドリルを使うということがあります。また周りもそのドリルを使うことを期待されます。
それが最大の弱点だなぁって思いました。
同じようなものをキートン・太一の才能に感じました。
その葛藤とその中でも自分のやりたいことを目指していく主人公がひどく心に残りました。
2食べ物が美味しそう
このマンガ食べ物をモチーフにした物語が多いです。
ただの食べ物じゃなくて、その食べ物がどうして好きになったのかという物語があって、なのでさらにおいしそうに見えます。
チョコレート、ティラミス、そば、アイスクリーム、桃、わさび、月餅、スコッチなどなど
チョコレートの話は、爆弾を作るテロリストの話です。
(以下マンガの一部ネタバレを含みます)
憧れていた祖父がひどく寂しそうにしていて孤独な最後を迎えた。
大人になって爆弾を作っている今、見知らぬおじいさんが孫にチョコレートをあげながら、今が一番楽しいと言っているのを聞いて祖父からもらったチョコレートを思い出す。
そして次の日にそのおじいさんが死んでしまった。
おばあさんが泣きながら笑って、うちの旦那いい顔してるだろうと言う。
それはひどくひどく穏やかな眠るような死に顔だった。
テロリストは思った。自分もこんな死に方がしたい。
そう思ったテロリストが自分の最高傑作の爆弾を止めるために選んだのが自分の爆弾を過去2回止めた元SASのキートン・太一だった…
この物語ではチョコレートが希望の象徴として何度も登場します。
祖父に憧れて、手に入れた爆弾開発という仕事は手に入れると違って見えた。
指の中をすり抜けた幸せと、ただ日々を淡々と孫と遊びながら過ごすおじいさん。
その幸せそうな姿に自分が見た幸せとはなんだったのだろうかと考える。
甘くないビターなチョコがひどく食べたくなります。
もう一つ、印象的な話でアイスクリームの話があります。
男は破局した。
彼女との関係は取り繕うようで、男は彼女に嫌われないように必死だった。
それなのに彼女は別の男の方に行った。
(この辺結構うろ覚えです)
必死にすがりついていた会社もクビになった。
美人の妻、エリートという肩書それらに縋り付いてすべてをなくした男は、自分の何が悪かったのか途方に暮れながら街を歩く。
そこでオックスフォードの友人だったキートン・太一がアイスクリーム屋を追いかけているところに出会う。
どうやらそのアイスは女王陛下すらお忍びで買いに来るくらいの絶品のアイスみたいだ。
アイスクリームは車で売り歩いており、街のいろいろな場所を点々としていてなかなか捕まらない。
たかがアイスくらいいいじゃないかと男は思った。
でもキートン・太一は違っていた。
アイスを買うために必死で走って、ついには自転車を買って車に追い付いてしまう。
こいつ楽しそうだなと男は思った。
オックスフォードのマドンナと言われた奥さんとキートン・太一が離婚していたことを男は耳にしていた。
一緒にアイスを追いかけて、ようやくとたどり着いて一緒に食べてそのアイスは絶品だった。
でも男は気づいてしまう。
女王陛下が食べにきたというのは嘘じゃないかと。
このアイスを食べるには距離が遠すぎるという話だった。
2人はちょっとビターな気持ちになります。
男は太一に質問してみました。
奥さんと離婚してどうだったか。
「僕は彼女と別れて初めて少し大人になれた気がした」
甘いアイスがほろ苦くなるようないい話でした。
そのジェラートもすごくおいしそうでした。
物語が加わると食べ物がひどくおいしそうに見えます。
YAWARAでも思っていたのですが、この作者、食べ物をおいしそうに書く天才です。
おじいちゃんが食べていたクレープ美味しそうだった…
YAWARA! より
話がそれました。
3使う武器が面白い
この物語、主人公も敵も使う武器が面白いです。
主人公は探偵でありSASで特殊部隊に入っており、現場で手に入れた道具を使って戦うスペシャリストです。
なのでオタマを使って投石器を使ったり、アルミフォイルに果汁を絞って激しい光を放つ装置を使ったり、これを?って思うものを武器にしていきます。
かと思えば敵が使う武器もなかなかに特徴的です。
仕込みナイフ、戦車、爪楊枝、葉っぱ…
爪楊枝の話が印象的でした。
男は日本から海外に出張しているサラリーマン、だったはずなのに、いつの間にか殺し屋になっていた。
普通のおじさんです。
どこにでもいる。
ただ毒殺というものに取り憑かれてしまった。
商売相手の将軍が飼っていたペットの猛毒の蛙の毒でその将軍を殺してしまいました。
そこから男は何人もの人を手にかけながらなんとか生活してきた。
日本に帰りたいそれだけを一心に。
そんな男がかっこんで食べる卵かけご飯がまた美味しそうなこと。
日本に帰りたいと願っている男がキートン・太一を殺すという依頼を受けるお話です。
ふつうのおじさんが毒をつまようじにしみこませてるシーン。
おじさんがくらい顔をしてたんたんと作業しているときにゾクリとするような迫力がありました。
もう一つ、印象的だったのが葉っぱの話です。
その男の殺しは変わっていて、現地にあるものを殺しの道具に使います。
主人公太一・キートンととても似ている戦い方をする男です。
ペンで相手の頭部を突いて殺したり様々な殺し方をしていますが、中でもシダの葉っぱで相手の頸動脈を切断するという方法を聞いたとき、そこらへんにある葉っぱで人が殺せるものなのかと驚きました。
シダの葉っぱを見るたびに首筋がヒヤリとしたものです(;'∀')
もちろんフィクションですが、MASTERキートンは書き込みのすごさからなんだかフィクションとは思えないで、現実の私にかなり影響を与えました。
サスペンス、ミステリー、ホラー、ラブロマンスからファンタジーまで様々な話が展開されていきます。
どの物語の中でも存在できる主人公の特性からだと思います。
主人公はそれぞれの物語の中で、さえない父さんだったり、優秀な軍人だったり、ドジな探偵だったり、時には物語を終わらせる答えを知ったキーパーソンだったりします。
大人のなおもちゃ箱のようなマンガです。
物語はぜんぶ思い出せるくらいに印象的です。どこか影を持った人たちが主人公のどこか間抜けで必死な姿に熱くなった自分を思い出す。そんな話が多かったです。
たぶんもう一度買ってずっと手元に置いておくと思います!