クマの大好きなマンガ
めちゃめちゃ好きな漫画を紹介しようと思います。
知る人ぞ知る名作です。
これほどやさしい世界の終末を私は知りません。
端的に言うとロボットの日常の話です。
以下ヨコハマ買い出し紀行のネタバレを含みます!
ロボットだと言うのを忘れてしまうほど人間らしいロボット…
不死の女性として見た方が良いかもしれません。
カフェを営みながら、終わりに向かっていく世界と、集落の中でその終わりに寄り添いそって終わりとともに生きていく話です。
新しい終末系の形
主人公のアルファさんは普通の日常をこれ以上ないほど何気ないことを楽しんでいます。
ロボットだし未来だしポストアポカリプスだし、なのに感じるのはどこか懐かしい風景です。
夏休みのラムネの匂いのする田舎の空気みたいな。
終わりながら誰にも振り向かれることなく消えていく、風景を永遠の命を持つロボットたちが慈しみながら抱えて日常を過ごしていく。
たまらないなぁっと思います。
水位が上がり街が滅びて消えていく。
政府は消えて、物流が途絶えていく。
でもそのダイナミックな崩壊も終わりも書かない。
それから衝撃と崩壊、憎しみや戦争が終わって、もう終わるしかなくなった人類の最後の1ページを何気なく書く素晴らしさ。
廃墟マニア的な楽しみなのかもしれません。
でも悲壮感は本当にない。
こんなマンガ読んだことないです。
不思議で魅力的な世界観
滅びの匂いはそこかしこにあり、人が消えた場所では人が居た風景を懐かしむようにビルの形を模した植物や、化石のようになってしまった人たちがその名残を愛おしむように残っています。
このマンガを読んでいて、滅びに対する最高の対抗手段は毎日を楽しく生きる。その瞬間を最高に楽しめる自分であることなのかなぁっと思いました。
終わりをこんなにさらりと書いてそれだけに深く深く問い詰めてくる。
定期的に寄りたくなる馴染みの店のような作品です。
しかも一回買って仕舞えば無料です😁
リーズナブル。
登場人物
主人公アルファさんは元気でのんきで直感でズンズン進んでいきます。
パートナーのロボットココネは自分を考え、そのルーツを学びながら自分たちがここにいる意味を考えて言語化していきます。
人間たちと同じ時間を共にしながら、その時間の流れから置き去りにされて、ロボットたちはこの時代を刻んでいきます。
だんだん知っていた世代の人とどんどん離れて、親のように色々教えてくれた人は失われて、その子供たちもだんだん大人になり子供をもうけて、これ以上ないほど残酷な物語にもなり得るはずなのに、その瞬間を楽しむアルファさんはそのしみじみとした時の流れに逆らうことも争うこともせず、その瞬間を慈しみながら歩いていきます。
それが時の流れに逆らう最高の防衛手段だと知っているかのように。
まとめ
この漫画に激しいバトルはありません。複雑な人間ドラマも…
あるっちゃあるけどそこがメインではありません。
終末ぶらぶら旅行記
そんな感じの漫画です。
複雑に練り込まれた設定と崩壊、だけど本編はそこではない。
夕焼けであったかいテロテロの時間。
なんだか笑っちゃうほどあっけない世界の終わり。
いいなぁっと思います。
登場人物一人一人が愛おしくて、大好きだなって思います。
なんだかヘンテコな世界も、その世界で精一杯生きている人もロボットもすごくイキイキしてます。
よければ手に取ってみてください。
私の大好きな作品です。