楽しいムーミン一家(1990)と蟲師(2005)という2本のアニメが大好きで、それはなんでなのか考えてみました。
これら2つのアニメは行間を楽しむアニメというか、行間を楽しむ作品だからだと思いました。
どちらも異形のものを語る作品でありながら、その雰囲気は対極で、それでもどこか奥にある静けさというか、しっかりとした生活、日常という淡々としたことの積み重ね。その大切さを知るために事件があるような、澄んだ雰囲気が共通すると思いました。
全く違う国のことを書いているのに、特に冬の静けさと寂しさ、渇望する春の描写、そして同時に物語の起点には冬の静けさがあるところが似ている気がします。
無駄なものを削ぎ落として、備えなければ死んでしまう冬。
その死の疑似体験のような冬を超えてじっと春を待つ描写。
蟲師では冬の怖さがよく書かれています。
ムーミンではその冬をのりこなえる備えをパパとママがしているおかげで、子供たちは冬でも遊べることができます(だからパパとママが魔法使いのように描かれているのでしょう)
そして冬の怪物たち。
美しくて魂を凍らせる存在。
たぶん、冬は子供が多く亡くなったのだと思います。
だから美しい怪物が冬の象徴として描かれている。
辛いとき、悲しいとき、物語が生まれる。
そんな気がします。
逆に蟲師の冬には目立った怪物が出てこない気がします。
冬が厳しいことくらい十分承知だから。そこにあるのは冬でも春を感じさせる物語の気がします。
結局どちらも名作です。
よければ見てみてください。