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【うつ病九段(著:先崎学)】

有名な棋士である著者が、なぜうつ病になり、いかにしてそこから立ち直ったのかという話です。

一流の棋士の最前線での活動、うつ病という病気の深刻さ、最近のうつ病の治療法とその過程がわかる珍しい本になっています。

うつ病とは死にたがる病気であり、はたしてその通りである。
という著者のことばが胸に沁みました。

頭にコールタールを入れられたように、なにも考えることができず、苦しみに耐えひたすら散歩をして、日の光を浴びて、毎日毎日散歩をして、それでも回復が実感できないで、息をひそめるように、一進一退を繰り返しながら、徐々に回復していく。

兄が精神科医であったこと、必ず治ると言われたこと、短いその言葉を信じて一歩一歩、一二と声をかけながら進んでいく。

気が遠くなる作業です。

朝は今までの人生で一番ツラい朝より、10倍ツラいという、うつ病の朝。
睡眠薬を使っても4時には目が覚めてしまい、そこからどんなに寝ようとしても眠れない。

人間にとって一番暗い死のイメージが続く。飛び降りや、電車に飛び込むイメージがよく浮かんだそうです。

健康な人が幸せや健康を求めるように、うつという病気はあたりまえに死を求めてしまう。

恐ろしい病気だと思います。

著者はマンガ『三月のライオン』の作中で監修とコラムを書いています。

私の大好きなマンガで、コラムも毎回楽しみにしていたので『うつ病九段』が出たときは驚きました。

そして悲壮的な内容なのですが、こんなことを言ったら怒られてしまいそうですが、無茶苦茶おもしろかったです。

うつ病という精神のガンとも呼ばれる難病になり、いくつも壁にぶつかりながら、将棋の世界に戻ってきた著者がすごくかっこよく見えました。

血という言葉で語ると、著者の努力をないがしろにするようで、心苦しいのですが、棋士という人間は体に将棋の血が流れているんだなと思いました。

どれほど細かく深く砕かれても、体が自分自身の形を保つ恒久性(ホメオタシス)のように、血が棋士である先崎学を蘇らせた。

思考より深く、第二の本能のような毎日の積み重ねが、将棋の血を作り、その血が棋士を辞めることを許さなかった。

そんな風に、非科学的な感情に包まれてしまいます。

闘病の本ですが、それ以上に傑作であることを保証します。

うつ病というわかりづらく難しい病気を知りたい方にもお勧めです。
ぜひ一読下さい。