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【国家の罠(著:佐藤優)】

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)

  • 作者:佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/10/30
  • メディア: 文庫
この本はノンフィクションであり外務省と鈴木宗男と政府の話、と書いたら、難しそうと拒否反応出るかもしれませんが…
この本むちゃくちゃ面白く読みやすい本です。

濃密でありながら、残りのページがなくなるのが悲しくなる面白さ、良書と呼ばれる本です。

簡単に概略を話すと。
外務省、鈴木宗男、政府をめぐる政治の戦いに巻き込まれて、鈴木宗男と一緒に東京拘置所に落とされた著者の体験談と、その事件をめぐる著者の目から見た事実が書かれています。

読んだ感想は、有力な外務省職員(情報の専門家)を敵に回すべきじゃないなと心底思いました。

あったことを全部しっかり覚えている。
それを読ませる文章に変えて、結末に関しては一切語らないことで逆に自分達を檻に落とした存在を浮かび上がらせています。

これは復讐なのか、保身なのか、読み物として完成度を高めたのか…
この著者なら、全部であっても少しも不思議じゃないです。

話は回想、拘置所の中、取調室の基本3ヶ所で進められていきます。

拘置所では拘置所の日常をコミカルに描いています。

回想では人間の嫉妬、脆さ、弱さ、ズルさ、権力への態度が人間ドラマとして語られています。

取調室ではやり手検事と、著者の息を飲む一騎打ちが見られます。

たくさんの物語が、一冊の中で読者を飽きさせないよう展開されていく様はまさに圧巻と言えます(しかもそれぞれに面白い)

中でも取調室での一騎打ちはその迫力に飲まれます。
時に生徒と教師になり、事件のあらましを検事に語り説明しながら、鈴木宗男を名前の呼び方で、少しずつ検事の印象を操作して、イニシアチブをとろうとするさまに、ゾクゾクさせられます。
片や検事も、この事件の本質は嫉妬であり、それを引き起こしたのが、鈴木宗男の性格だと言い当てる。
 互いに互いを認めあい、それぞれが揺れ動く民意と政情、自らの正義の中で落としどころを探っていく。男と男の存在をかけた戦い。

そしてそれを覚えて記録に残しておこうとする著者。

勝ち負けはどこにあって誰が敵で味方なのか。
高度な情報戦と呼ばれるものを見ることかできます。

取調室では飲んだ水の量を調整しながら、この量のときはこの話をしたと、フックをかけてメモ一つ取れない部屋で、日に数時間というやりとりを著者は覚えていたらしいのですが、技術を教えられてもとても真似できる気がしません。

インクの色を変えて手帳に残したアンカーの記録、それを金の流れをしっかり洗い出すためにと、検事に見せてもらうことで、まるまる思い出して覚えてしまったり、ここまでできる人間がいることに、恐ろしさと感動を覚えます。

なんだかんだと言いましたが、読んでもらうことが一番だと思います。

そして、まだあのページが進むドキドキを知らず、楽しめる方たちに少しの嫉妬とうらやましさを覚えずにはいられません。